第92回選抜高校野球大会(3月19日開幕)で加藤学園が、春夏通じて甲子園に初出場します。ナインは初戦突破を目指し、連日汗を流しています。日刊スポーツ静岡版では今日18日から、「加藤学園センバツへ 至誠」と題して、聖地での戦いに挑む選手たちを紹介していきます。第1回は、エースの肥沼(こいぬま)竣投手(2年)です。昨秋の県、東海大会を1人で投げ抜いた大黒柱。甲子園に向けて、静かに闘志を燃やしています。

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本番が刻一刻と近づく中、肥沼は鍛錬を続けている。体の強度やしなやかさを増すため、全体練習後に筋力・体幹トレーニングを日々、続けている。「ベンチプレスで昨年の秋は55キロでしたが、現在は75キロまで持ち上げられるようになった。球威も上がっている」と手応えを感じている。

新チーム結成時から、中心選手としての自覚と責任感を強めてきた。きっかけは米山学監督(41)から寮長に指名されたことだ。寡黙な性格ということもあり「最初は驚いたけど、監督から信頼されていると感じてうれしかった」。指揮官の思いを力に変え、昨秋の地区、県、東海大会で10試合に先発して10完投。鉄腕ぶりを発揮して、チームの東海大会4強入りに貢献した。

肥沼には、甲子園で対戦したい打者がいる。武蔵府中リトル(東京)でチームメートだった東海大相模の4番山村崇嘉(たかよし)主将(2年)だ。「小学生のころから抜群の打力だった。投手でもすごくて尊敬していた」。ともに白球を追い、名門校をけん引するプロ注目打者へと成長したかつての仲間と対戦し、自身の成長した姿を見せたいと感じている。

瑞穂シニア(東京)では4番手投手だったことから、高校は地元の公立校へ進学し、野球をやめるつもりでいた。だが「両親から甲子園で投げる姿を見たいと言われ、頑張ろうと思った」と心を入れ替えた。自宅から練習場などへの往復で車に乗せてもらうなど、自分に野球をやらせてくれた感謝もあるという。そしてチームにも恩返しするつもりだ。「秋は野手のおかげで東海大会まで行けた。甲子園では、自分が引っ張れるようにしたい」。聖地のマウンドで思いを表現してみせる。【河合萌彦】

◆肥沼竣(こいぬま・しゅん)2002年(平14)5月9日、埼玉県所沢市生まれ。武蔵府中リトル、瑞穂シニアを経て、加藤学園高では1年秋からエース。昨春と昨秋の県大会で準優勝し、東海大会出場。右投げ左打ち。180センチ、80キロ。血液型A。家族は両親と姉2人、弟。将来の夢は、幸せな家庭を築くこと。