たとえ甲子園への道が閉ざされようとも、揺るがぬ評価を獲得している猛者がいる。名門の主力を張る野手を紹介する。

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時には涙も糧に、成長してきた。履正社(大阪)の小深田大地内野手(3年)は178センチ、90キロの馬力あるボディーを土台とした長打力が持ち味。高校通算29本塁打を数える。視察を続けるNPBスカウトの1人は「打ち損じをしない。力もある」と技術を評価する。

1年夏からレギュラー。主軸を担う重要性は痛いほど自覚している。昨秋の茨城国体。準決勝で海星(長崎)に敗れた後、やりきった表情を見せる現阪神井上の横には1人泣きじゃくる小深田の姿があった。4点を追う9回裏2死満塁。好機で3番の小深田が空振り三振に倒れて試合終了。「勝てる試合だった。井上さんの前で終わってしまった。3年生は最後。僕で終わるのは違う」。4番の井上に回せず、悔し泣き。目を赤くし「後ろにつなげる打者を目指します」と宣言した姿が印象的だった。

新チームとなった昨秋は3番に座り、公式戦11試合で37打数20安打17打点、打率5割4分1厘。近畿大会準々決勝の京都翔英戦では、右翼へコールド勝ちを決めるサヨナラ3ラン。3安打4打点と主軸の座に恥じない活躍でセンバツ出場を引き寄せた。「チームを救える打者になりたい」。井上やロッテ安田のように-。プロ入りをかなえた先輩たちの背中を追う。【望月千草】