昨秋県王者の第1シード能代松陽が「能代ダービー」で苦闘発進した。12安打も16残塁の拙攻で4点しか奪えなかった。ともに2死満塁の6、7回は1本が出ず、2安打1四球の8回も2度の走塁死で無得点。工藤明監督(44)は「チャンスで打てなかった人が一番悪い。『次の1点』を大事にしないと。いい勉強になったと思います」と渋い表情だった。

収穫は1、2番コンビのつながりだ。プロ注目の1番森岡大翔外野手(3年)は徹底マークされたこともあり、6打席で1安打4四球5出塁。2番田中稜真内野手(3年)は「森岡が警戒されるのでチャンスで打席が回る」と、3点適時三塁打を含む3打数2安打3打点の勝負強さが光った。

コンビ機能の象徴は2回の先制機。2死二、三塁から森岡が四球を選び、田中は甘く入った変化球を完璧に捉え、右中間を真っ二つに破る走者一掃の3点三塁打を放った。「四球後の初球を狙っていました。思い通りの打撃ができました」と2人で勝利を呼び込んだ。工藤監督も「田中は『ゆっくり見て行け』と指示しても、初球から振りにいくようなタイプ。彼らしさが出ていて良かった」と合格点を与えた。【佐藤究】