22度の夏甲子園出場を誇る東北が4年ぶりの県王者奪回に向けて、7回コールド発進した。頭を5厘刈りにして臨んだ5番小熊慎之介内野手(3年)が、3ランを含む2安打で打線を活性化させた。

小熊が豪快な1発を放った。7回表無死一、二塁。真ん中高め直球を振り抜き、右打席から低い弾道のまま右中間最深部に突き刺した。「打った瞬間に手応えはありました。カウント3-1だったので、真っすぐに絞ってました」。直近の練習試合ではバットが湿り、「気持ちを入れ替えるために、2日前に寮で刈り上げました」と頭を丸めたように、最後の大会への気合がバットに乗り移った。

甲子園出場の目標はなくても、「打倒仙台育英」が高いモチベーションになっている。昨夏の宮城大会決勝は10-15と乱打戦の末に敗れ、昨秋の中部地区予選と県大会でも惜敗。小熊も「1年生の時から、ずっと負けている相手。1戦1戦を大事に戦って、育英にも雪辱を果たします」と力を込めた。4連覇を狙う永遠のライバルの牙城を崩し、頂点へと駆け上がる。【佐藤究】

▽東北生活文化大高・吉岡尚樹内野手(2年=8点差を追う7回裏2死から意地の本塁打)「3年生にコールド負けをさせるわけにはいかないと思った。お世話になった3年生に、少しは恩返しになる1発を打てました」