村上桜ケ丘の菅原岳心(3年)は投手に復帰して県高校夏季大会を迎える。昨夏までは投手だったが、昨秋は捕手としてけん引し、チームをベスト8に導いた。最後の夏は、エース山田尚幸投手(3年)との両輪で県の頂点を目指す。

   ◇   ◇   ◇

菅原はダイナミックなフォームから繰り出す130キロ台後半の直球に磨きをかけて夏に備える。そこにカーブ、スライダー、チェンジアップを織り交ぜて配球を組み立てる。「捕手をやったことで、配球に自信を持てるようになった」。昨秋8強を支えた捕手経験は今、最大の武器だ。

松田忍監督(70)は「上を狙うために、もう1人投手が必要」と菅原に期待をかける。エースの実戦派右腕の山田が先発するとき、菅原は左翼に入る。公式戦登板は昨春の県大会順位決定戦の北越戦が最後。夏季大会でマウンドに立てば約1年2カ月ぶりになるが、松田監督は「大きい割には動きが速い。将来は高いレベルでできる選手」と潜在能力の高さを買っている。

昨秋、正捕手の宮村翔主将(3年)が右ひじを痛めた。代役として村上東中時代に投手、捕手の両方をこなした菅原が、準々決勝まで4試合すべてでマスクをかぶってフル出場した。

入学時は投手を中心に内野にも回った。どこでも守れる器用さがある。再び投手に戻っても勘は鈍っていない。「相手打者が打席に入る前の素振りなどをチェックするようになった」。練習試合では、マスク越しに身に着けた観察力が生きることを実感した。

冬場はシャドーピッチングやネットに向かっての投げ込みでフォームを固めた。好きな投手はオリックス山本由伸。球界屈指の本格派の動画を見て、腕の振りなどを研究した。投手としての準備も万全だ。最後の夏、さまざまな積み重ねをぶつける。「優勝して終わりたい」。18日の初戦、1回戦の豊栄戦から全力で立ち向かう。【斎藤慎一郎】

○…宮村主将は夏季大会に向けてチーム全体を引き締めている。「まだ気持ちが足りていない。もっと声を出すようにしないと」。8試合ほど練習試合をこなす中で感じたことをチームで共有した。冬場から体作りをテーマに、全員が丼でご飯を3杯以上食べるなど、結束はもともと強い。「自分たちは挑戦者。強い相手にどこまで力を出せるか。ぶつかっていく」と話した。

◆菅原岳心(すがわら・がくし)2002年(平14)8月23日生まれ、村上市出身。村上小3年のときに野球を始める。村上東中では投手と捕手。村上桜ケ丘では1年の秋からベンチ入り。あこがれの選手はオリックス山本由伸。182センチ、82キロ。右投げ右打ち。