青森東は7-2で八戸高専を下し、3年ぶりの夏勝利をものにした。右横手投げエース伊藤太陽(3年)が11安打2失点完投。高校公式戦デビューを白星で飾った。

伊藤が、その名の通り高校最後の夏にサンサンと輝いた。3回表に3連打で2点を失ったが、その後は要所を締め、逃げ切り勝ち。伊藤は「落ち着いて立て直すことができました」と136球の粘投を振り返った。津軽半島の三厩(みんまや)町出身で高校入学後に投手を希望。当初は上手投げだったが、熊谷浩二監督(43)の指導で1年秋から横手投げに転向。しかし、昨秋までベンチ入りすらできなかった。

コロナ禍の今春は5月中旬まで休校。選手たちはLINE(ライン)で連絡を取り合いながら自主練習を続けてきた。伊藤は長さ約30センチの細い棒を使った独特のシャドーピッチングで、テークバック時の右手が下向きになる独特の投球フォームを磨いた。

奪った三振はわずか3の、打たせて取る投球術を披露。熊谷監督は「入学時は素人だったが、1人で下宿をしながら頑張った。今日の勝利は100%彼の投球に尽きる」と絶賛した。打線も2ランスクイズやディレードスチールなどで得点を積み上げて援護。伊藤は「次も格上が相手なので、守備にも助けてもらって自分の役目を果たしたい」と2回戦の五所川原商に立ち向かう。【佐々木雄高】