全国高校野球選手権大会がなくなった今夏。球児たちはどんな思いで試合に臨むのか。直筆の手紙とともに随時掲載していく。

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文星芸大付(栃木)の主砲、角田祥太郎内野手(3年)は、母清恵さん(45)への感謝を手紙につづった。勝負強い打撃を武器に4番に座る角田は、小さいころから家族の後ろ姿を見て育った。

兄2人の影響で野球を始めたが、仕事をしながら朝の弁当作りに練習への送り迎えと、3兄弟を支える母の苦労を見てきた。「自分ができることはやらなければ」。すぐに始めたのが練習着とユニホームの洗濯。毎日、練習でついた泥を、ぬるま湯でゴシゴシともみ洗い。「今は自分で洗わないと気がすまない」と母を助けながら、野球用具を大切にすることも学んだ。

兄2人も甲子園を経験。技術はいつも兄に相談し、巧みなバットコントロールと追い込まれても見極める力を身に付けた。高根沢力監督(46)も「角田の前に打者を出せるかが勝利のカギ」と期待する。支えてくれた母を笑顔にするため。角田が感謝の1発を放つ。