福島で実現した元プロ同士の初対決は、東日本国際大昌平が尚志を5回コールドの12-2で下し、第4シードの貫禄を見せた。東日本国際大昌平・伊藤博康監督(50)は巨人などで外野手としてプレーし今年で就任6年目。広島などで活躍した尚志・松井隆昌監督(53)は4月に就任し、初の公式戦だった。東日本国際大昌平が初回に6点を先制も、その後は尚志・宇賀陸人投手(3年)が3回を無失点に抑え粘ったが、5回に再び6失点し決着した。

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あと数センチだった。5回裏2死二、三塁、東日本国際大昌平・小松大介外野手(3年)の飛球がレフトに上がった。尚志・関根仁左翼手(2年)が懸命に飛び込むも及ばなかった。その瞬間、コールド負けが決まった。

プロの世界でもまれてきた松井監督の「イズム」が確かに浸透していた。1回裏に、昨春の県王者・東日本国際大昌平打線が6点を奪ったが、尚志ナインは諦めなかった。2回から踏ん張った宇賀は「練習試合では大差がつくと諦めてしまうことがあったけど、今日は最後までみんなで向かっていけた」。松井監督は目を潤ませながら選手の頑張りをたたえた。「6点取られた後、1点1点取って相手にプレッシャーを与えていた。自分たちのやれることをやってくれた。最後のダイビングも、手を伸ばすだけでなく、必死に飛び込んでくれた」。

4月に就任したが、コロナ禍で満足のいく練習はできなかった。限られた時間の中でも、「諦めない心」だけは伝えたかった。東日本国際大昌平・伊藤監督は「小さな流れではうちの完敗ですよ。松井さんは子どもの心をつかむのが上手。さすがだなと思いました。いいチームになると思いますよ。福島も面白くなる」と、新たなライバルになるかもしれない敵将を歓迎した。

松井監督は急ぎ足だったチーム改革に、あらためて腰を据えて臨む。「ブルペン捕手も含めて30年間プロの世界でやってきた。その経験を選手に寄り添いながら伝えたい。引退してから『これはやっておくべきだった』と思うことが沢山あった」と意欲を見せる。福島の高校野球がいっそう面白くなる予感がする。【野上伸悟】

▽東日本国際大昌平・小松大介主将(3年=コールド勝ちを決める適時打を含む3安打) まだまだいい形で打てていない。いわきリトルシニア時代のチームメートだった磐城の沖(政宗=3年)君と決勝で対戦できるよう頑張りたい。