県内屈指の進学校が開校1カ月の「枡田塾」効果で10年ぶりの8強を勝ち取った。仙台一が7-0の8回コールドで登米に快勝し、13年ぶり進出の昨秋に続く準々決勝に駒を進めた。

先発した背番号10の右腕・篠村大翔(ひろと、3年)が5安打完封。2回には自ら先制V打を放った。6月下旬から指導する元楽天外野手の枡田慎太郎コーチ(33)がスタンドで見守る中で、2戦連続コールド勝ちの「名解答」で応えた。

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指南役も見つめる「御前試合」で、最速144キロ右腕・篠村は集中していた。「仲間のためにも1つでも勝ちを積まないといけない。相手に勝機を与えないことを意識して投げた」。3回まで毎回得点圏に走者を背負ったが、打たせて取る投球で失点は許さない。4回以降は3イニングで3者凡退など、三塁も踏ませず1安打投球。1-0の6回表2死二塁で4番を迎えると、千葉厚監督(42)から「勝負どころ。追いつかれてはいけないので、上げなさい」とギアチェンジの伝令。篠村は力を入れ、投ゴロで切り抜けた。同監督は「問題なく合格点をあげられる。粘り強く彼らしい投球だった」と高く評価した。

篠村は打撃でも自らを助けた。2回2死一、三塁の先制機で「序盤に1点取りたい。いいところに抜けてくれた」と外角直球を中前に運んだ。創部123年目を迎えた伝統校は6月23日、元プロの枡田氏をコーチに迎え、週に2日ほど指導を受けてきた。篠村は「しっかり振り切って、ホームランの途中にヒットがあるイメージ」との助言に従い、同コーチのような勝負強い打撃で先制点をもたらした。チームも中盤以降の集中打で計11安打を放ち、連続コールド勝ちを収めた。

次戦は28日に仙台東と第4シード古川工の勝者と対戦。勝ち上がれば準決勝で第1シード仙台育英と対戦する可能性がある。千葉監督は「(8強は)まだ通過点。昨秋の記録を塗り替えるために、一冬厳しい練習をしてきた。満足せずにもう1つ上にいって、ベストゲームをしたい」。1923年(大12)の全国選手権に県勢初出場した古豪。4連覇を狙う絶対王者を倒した先には、70年ぶりの夏制覇が見えてくる。【相沢孔志】

▽仙台一・枡田コーチ とりあえず勝てて良かった。選手たちは頑張ってくれた。今は(仙台)育英の1強と言われている中で、育英が勝って当たり前とは思ってほしくない。いつも通りやれば良い試合はできる。