全国高校野球選手権の代替となる各都道府県の独自大会が全国各地で行われた。福岡では、ドラフト1位候補の福岡大大濠の最速153キロエース右腕、山下舜平大(しゅんぺいた=3年)が、7回5安打1失点で勝利に導いた。阪神などが見守る前で5者連続を含む13三振を奪い、春夏通算6度の甲子園出場を誇る東福岡をねじ伏せた。

ドラフト1位候補が、剛球と「お化けカーブ」で強豪・東福岡を粉砕した。

初回からエンジン全開。特に「スライダーに近い斜めの120キロ台と、真っすぐ落ちる2種類」という魔球のパワーカーブと、100キロ台のスローカーブのキレが抜群だった。初回から2回まで5者連続奪三振。「5連続は、ほぼ、回転をかけた斜めのカーブです」という自信の決め球で快投を演じ、波に乗った。6回に失策絡みで1点を失ったが勢いは止まらず。7回2死一、二塁で渾身(こんしん)の直球を投げこみ、13個目の三振で自身の登板を締めた。

この日の最速は150キロ。八木啓伸監督(42)が「角度のある真っすぐがあるので、打者がカーブにも手を出してしまうのが一番の魅力」という力投で、集結した12球団20人のスカウトをうならせた。中日三瀬スカウトは「スケール感があり、単純にいい投手で、ドラフト1位候補と思う。(エンゼルス)大谷選手や(元ソフトバンク)斉藤和巳投手のようなスケールの大きな投手になってほしい」と、超大物の名前を出して将来性を評価した。

三宅中時代はスライダーとチェンジアップも投げていた。八木監督の「小さくまとまらないでほしい。球種は次のステップで練習したらいい」との育成方針で、高校ではカーブ以外を封印。昨秋の練習試合・大阪桐蔭戦が成長への転機になった。15-11の試合で山下は救援で5回を投げ、昨秋近畿大会準優勝校から12奪三振。「カーブが良くて三振も多く取った」と手応えを感じた一方で「真っすぐで押して本塁打されたので、カーブの使い方を考えた」と精度向上に励んだ。

「モイネロ投手(ソフトバンク)の斜めに曲がるカーブが理想です」。20世紀前半に活躍した経済学者ヨーゼフ・シュンぺーターに名前が由来する舜平大(しゅんぺいた)は、向上心も1位クラスだ。【菊川光一】