ピンチで、エースの気迫がほとばしった。「アッ!」。国士舘・中西健登投手(3年)の声が響く。2-0の6回2死満塁。日野の6番倉田に対し、投げるたびに叫んだ。最後は高め真っすぐで空振り三振。乗り切った。

サイド右腕は、一見するとクールに見える。だが、心は熱かった。「きつくなると、気合を出すしかありません。展開から、1人でいくしかないと分かってました」と頼もしく振り返った。永田昌弘監督(62)は5、6回まで中西で、と考えていたが、打線が小畑、関口の日野の両右腕を打ちあぐねた。3回までの2点のみ。接戦となり、エースに頼るしかなかった。

日野は昨夏初戦で敗れた相手。中西は前日、卒業した先輩から「負けるなよ」と連絡をもらっていた。「借りを返さないといけないと、初回から全力でいった結果、こうなって良かったです」と6安打完封勝ちを喜んだ。序盤から飛ばした影響か、6回以降はやや不安定に。再三、得点圏に走者を抱えたが、気合で乗り切った。

昨秋東京王者は8強入りを決めた。次戦は3日、強力打線の早実が相手だ。