仙台育英が8-2で仙台を退け、「夏4連覇」を達成した。今大会は3年生40人全員が出場し、決勝もベンチ入り20人全選手出場の総合力で制覇。主将の田中祥都内野手(3年)はセンバツ、夏の甲子園中止の悔しさを乗り越えたチームを支えただけでなく、大一番でも3安打2打点3得点3盗塁と先頭に立った。出場権を獲得した東北大会(9日開幕、宮城・石巻市民球場)では、下級生を含めた現時点でのベスト布陣で臨む予定。15日に倉敷商(岡山)と対戦する甲子園交流試合を含む全勝で、高校野球を完結させる。

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仙台育英3年生の強さを集約した頂点だった。大会を通じて選手38人がそれぞれの長所を生かして勝利を導き、学生コーチとマネジャーの2人も記録員として支えた。田中主将は「悔しく、苦しい期間を3年生中心に乗り越え、下級生も必死にサポートしてくれた。それぞれの強み、役割が分かっていたし、日々の積み重ねが発揮できた優勝なのでうれしい」。目標に掲げてきた日本一は戦わずして消えたが、全員で高め合えた価値ある過程と結果に胸を張った。

全6試合で1番打者を務め、グラウンド内では切り込み隊長だった。2-0とした2回表2死二、三塁では左越え2点適時二塁打を放って一挙4得点。5回には左前打で出塁して生還。7回にも中前打を放ち、二盗、三盗後に再び生還。9回も四球を選ぶと8点目のホームを踏み、存在感は際立った。

試合前夜には千葉蓮前主将(現白鴎大1年)や阿部大夢元主将(現東北福祉大2年)らOBから、田中主将のもとに激励LINE。5月20日の甲子園中止以降は、全国の高校野球ファンから学校に手紙や電話でのエールも数多く届いた。須江航監督(37)も「3年生全員での優勝が実現出来てうれしい。今日の試合のテーマは『魅せる』と選手が設定しました。3年生、下級生、支えていただいた皆さますべてに対して魅せてくれた」とたたえた。

東北大会は「20年夏の発表会」と位置付け、全学年の競争に勝った選手がベンチ入り。3年生で戦った第1章を終え、次世代につなぐ第2章を東北大会で披露する。【鎌田直秀】

○…最速143キロエース左腕・向坂優太郎(3年)が6回3安打8奪三振無失点の好投で、試合の流れを作った。「テンポ良く投げられたことで守備のリズムも生まれたと思う。3年生だけで優勝をつかむことが出来た喜びは大きい」。昨秋の背番号8から「1」を背負ったことにも「後輩たちに良いものを見せられたと思うし、責任を感じながらも楽しく投げられました」と充実した表情だった。

○…試合後、多賀城市の同校で優勝報告会を行った。田中主将は東北大会の優勝と甲子園交流試合に向け、保護者や学校関係者へ「自分たちの熱い夏を応援してください」とあいさつ。加藤校長からは「甲子園には3年生40人全員が行ってきてください」。当初はベンチ入りメンバー20人と補助員などの限定だったが、大きなプレゼントが贈られた。