聖光学院が6-0で光南を下し、夏の福島“14”連覇を達成した。

2回に内山連希主将(3年)の適時二塁打で先制し、3回には4番畠中子龍内野手(3年)が2点適時打。6回には光南2番手の国井飛河投手(3年)からも2点を奪い突き放した。投げてはエース舘池亮佑投手(3年)の2安打完封劇で王座を守った。選手権中止で代替大会となったが、戦後最長の夏の地方大会連覇記録を更新し、戦前を含めても和歌山中(現桐蔭)に並ぶ偉業となった。福島代表で9日開幕の東北大会(宮城・石巻市民球場)に出場する。

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聖光学院の右横手エース舘池亮佑が2安打7奪三振の無四球完封で「14連覇」を導いた。2死球はあったが、二塁を踏ませたのも1度の完璧な内容。「苦しんだ場面はなかった。とにかく真ん中でもいいから、思い切って腕を振ることだけ考えた。走者が出た時にギアを上げた真っすぐが良かった」。冷静かつ淡々と自己分析した。

「正直、ここ(決勝のマウンド)にいることすら想像していなかったんですよね」。今大会は高校初のベンチ入りで背番号1。初戦の日大東北戦でも完封するなど、5試合登板で3失点と存在感は際立っていた。上手に限界を感じ、出番を求めて昨年5月にサイドスロー転向。新境地に手応えを得た直後の同6月に右肘疲労骨折。同11月には右肘神経障がいで今年2月中旬までリハビリ生活に「メンバー入りを諦めかけた時もありました」と振り返る。

冬期間は足の上げ方、踏み出す足の位置、両肩の方向性など、投球フォームを再構築。強く腕を振ることに特化した気持ちの変化が成長を促した。今年6月、仙台育英(宮城)との練習試合で無失点に抑えたことが自信も生んだ。

初のエース番号にも「1番に思い入れはない。打たれても点を取られなければいいやって感じです。大事な場面で投げるのは苦しかったので、やっと終わったというホッとした気持ち」。試合中にも大好きな洋楽を鼻歌で奏でながら投球することがリラックスして投げる術だ。そんな独特な感性に斎藤智也監督(57)からウルトラマンの故郷M78星雲にちなみ「M38星人」と命名され、親しみを込められた。同監督から「お前がエースになってくれてうれしいよ」と金メダルを首にかけられ安堵(あんど)の涙。指揮官からも「宇宙人、怪獣のイメージだったけれど、ウルトラマンになってくれた」とたたえられ、東北大会では強豪の怪獣球児も退治する。【鎌田直秀】