頼れる主将の穴は大きかった。浦和麗明の今井元気主将(3年)は15日の市浦和との試合で犠打をして一塁に走る際、送球が右後頭部に直撃し、頭蓋骨骨折の診断を受けていた。この日は声でチームを支えたが、強豪・浦和学院には及ばなかった。

今井は2回から監督に志願して、三塁コーチを務めた。最初はベンチの最前列で声をからしていたが、より仲間の近くから声を送った。「出場できないと決まったときは悔しかった。今日も試合に出たいという気持ちはあった。ただ出られない以上はサポートする立場で全力を尽くそうと思った」。気持ちを切り替えて臨んだ一戦、負けても涙はない。

佐藤隼人監督(36)は「うちは今井のチームなので。私がチームの雰囲気がゆるんでいると感じて注意しようとしていると、今井が先にミーティングを開いて注意してくれている。大黒柱です」と主将としての働きを称賛した。今井へ何と声をかけるかと問われると、こちらは目に涙を浮かべながら「何も声をかけることはないです」と言葉を絞りだした。

頼れる主将の特別な夏は元気いっぱいの笑顔で幕を閉じた。【小早川宗一郎】