角館が県南地区代表決定戦で秋田修英を2-1で破り、県大会出場決定一番乗りを決めた。エース右腕・武田拓海(2年)が5安打1失点完投。1-1で迎えた7回表に、「2番二塁」高村徳幸内野手(2年)の右前適時打で勝ち越した。19日開幕の県大会では、14年夏以来となる県頂点に挑む。

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武田の132球目も、丁寧な低め投球だった。2死一塁で遊ゴロ。マウンドから一塁ベース後方までカバーに走った右太もも裏は、けいれんしていた。8回裏からの違和感。県大会出場をつかんでも顔をしかめた。3回に先制を許しても、5回には木村優斗主将(2年)が同点の右前適時打。7回には高村徳幸内野手(2年)が右前決勝打で援護してくれた。「(高村)徳幸が打ってくれたので、少しくらい痛くても最後まで投げきろうと思った」。仲間への感謝の気持ちを背負った背番号1の責任感を貫いた。

序盤は制球が安定せずに球数が多かったが、最速134キロの直球に5種類の変化球を交え、6奪三振。内野ゴロ13個など相手を翻弄(ほんろう)した。今夏の独自大会は初戦2回戦で湯沢翔北に0-7敗退。「先輩たちが泣いている姿を見て、やってきたことを超えないといけないと思った」。真夏の暑さの中、筋力強化に努めた。約20キロの重りを持って手首も鍛え、全球種のキレも増した。7回には相手犠打を三塁でアウトにする下半身の安定感も披露。6回以降はわずか1安打に封じるなど、後半の粘り強さが際立った。

14年夏、同校初の甲子園出場が、武田の心を決めた。エースだった右腕・相馬和輝(現JA全農あきた)がヒーローだった。16年夏の決勝進出も希望の光だった。当時は内野手だった右腕・赤上優人投手(東北公益文科大4年)は今秋のドラフト候補に成長。「地元の先輩が目標の選手になったし、身近な高校に行って甲子園でプレーしたいと思って勉強も頑張った。自分も大学など高いレベルで活躍出来る投手になりたい」。この日、来春のセンバツ開催が正式発表された。「まずは、県大会で頂点に立ちたい」。2人の先輩右腕に続くヒーローに続く。【鎌田直秀】