今秋の静岡県王者・藤枝明誠が、初戦で散った。1回戦を突破して勢いに乗る岐阜第一(岐阜3位)に2-3で逆転負け。1点リードの6回裏にエース左腕の小林輝(てる、2年)が逆転打を許し、そのまま逃げ切られた。

県勢3校がそろって初戦敗退を喫したのは、同じ三重県開催だった18年以来、2年ぶりとなった。

   ◇   ◇   ◇

悔しさが残る敗戦となった。藤枝明誠の先発・小林は6回、2本の内野安打で2死一、三塁のピンチを迎えた。ここで相手8番に甘く入ったスライダーを左翼に運ばれた。打球は左方向へ吹く風に乗り、フェンス直撃。走者一掃で逆転された。左腕は「失投だった」と話したが、光岡孝監督(42)は「最初は左飛だと思ったが、予想以上に飛んでいった」と振り返った。

打線は、再三の好機をフイにした。7度、得点圏の場面をつくったが、2得点のみ。残塁は相手が6に対し、10を記録した。相手投手の変化球に打撃の形を崩され、要所を抑えられた。光岡監督は「自分が攻略の糸口を見つけられず、的確な指示を出せなかったことが敗因。選手たちには、申し訳ない気持ちでいっぱいです」と頭を下げた。

県大会では、決勝の常葉大菊川戦で21安打16得点と打線が爆発した。だが、それから約1カ月。主軸に調子を落とした選手がいた。この日、4打数無安打に終わった4番川瀬譲二主将(2年)は「練習の量や質が足りなかったと思う」と悔やんだ。打つべき人が打てないことで、チーム内に重苦しい空気が漂った。

これで来春センバツ出場は絶望的となった。それでも、エース小林は「(惜しくも今春センバツ出場を逃した)3年生のためにも、夏は絶対に甲子園に出ないといけない。そのために、まずは冬にレベルアップをして、来春の県大会優勝、東海大会でリベンジを狙う」と決意を示した。悔しさを糧にし、再出発する。【河合萌彦】