関東地区から21世紀枠の候補に選ばれた石橋(栃木)は「文武不岐」を掲げる。県立の進学校で、福田博之監督(55)は「勉強と野球は別物じゃない。野球をすれば勉強する体力がつくし、勉強すれば野球の集中力が身につく。生徒たちには『24時間は誰にも同じ。どう使うかだ』と話しています」と説明する。

サッカー部、陸上部などとの共有グラウンドのため、左翼90メートル、右翼60メートルと限られる。ただ、その分、守備は低い送球、打撃は低く鋭い打球を意識する。平日は7限目が終わるのが午後4時25分。同50分から練習開始だが、7時には完全下校のため、2時間だけ。十分な照明設備もないが、メニューを絞って、集中力を持って取り組んでいる。

成果は秋に出た。準決勝で県屈指の強豪である作新学院に勝利。2位校として4年ぶり2度目の関東大会出場を果たした。初戦で東海大相模(神奈川)に敗れたが、その経験も糧になっている。小林到主将(2年)は「(東海大相模は)行動が速い。僕らがグラウンドに入った時には、もうキャッチボールをやっていて、試合でも走塁、バント、細かいところまで素早かった」。準備の大切さを学んだ。

4年前に関東大会に出場した時も、関東地区の21世紀枠候補に選ばれた。中学生だった小林は、高校は私立も考えていたが「県立で甲子園に行きたい」と石橋進学に傾いた。その思いが実るかも知れない。

毎週月曜は学校周辺の掃除、冬には地元の小・中学生を集めた野球教室と、地域にも密着してきた。小林自身、小学生の時に石橋の野球教室に参加したことも、志望の理由にあった。「県大会は最少失点で粘って、勝ちにつながりました。守りからリズムを作るチームを作り上げたい」と、この冬の目標を掲げた。