今秋ドラフト上位候補で3月19日開幕のセンバツに出場する市和歌山の小園健太投手(2年)が「進化形」に挑む。13日は和歌山市内の同校グラウンドで行われた紅白戦で今季初の実戦登板。5回を10安打6失点だったが、手応えも深めた。最速152キロの剛腕は初戦から146キロを計測。だが、人知れず挑戦した“新球”がある。

1回、プロ注目で主砲の松川虎生捕手(2年)を得意のツーシームなどで追い込むと最後は見逃し三振。勝負球は何とチェンジアップだ。松川が「予想してましたが、手が出ませんでした」と脱帽した。3回は先頭西岡亮汰外野手(2年)も低く沈む球筋で空を切らせ「いい感じで沈んでいたよ」と太鼓判を押された。

昨秋、生命線の速球と似た軌道を描くツーシームとカットボールは見極めにくく、打者の脅威だった。ここに「緩急」が加われば鬼に金棒だろう。この冬はチェンジアップやカーブの習得を目指す。「少し自信になりました。迷ったときのレパートリーで投球の引き出しが増える。僕は真っすぐに近い変化球が多い。緩急、奥行きをもっと使えるはず」と説明した。1年夏までチェンジアップを用いたが、精度が悪く、その後の実戦では封印していた。

11月29日の練習試合登板以来、2カ月半ぶりの実戦でも強い向上心を示した。半田真一監督(40)が「ここから。よりストレートを生かすために」と話せば、舩津直也コーチ(28)も「(チェンジアップは)奥行きの空間を使う変化球。去年の段階と同じなら日本一を取れない」と期待する。

6日は170球のブルペン投球を行い、小園も「投げ込んだ疲労感は少し抜けてなかった」と明かす。それでも「カットボールの球速も上がっていました。今日一番の収穫」と話した。この日は多彩な変化球でストライクを奪う感覚もテーマだった。全98球でチェンジアップは6球ほどでカーブも3球ほど投じた。「完成させて使っていければいい」。無双のエースへ。日本一仕様の投球スタイルで頂点を狙う。【酒井俊作】

○…プロ注目で高校通算31本塁打の市和歌山・松川虎生(こう)捕手(2年)が13日に和歌山市内の同校グラウンドで行われた紅白戦で規格外のパワーを見せつけた。

5回、エース小園のカーブをとらえ、右中間二塁打。7回も右越え二塁打を放ち、2度目の打席で中堅越え本塁打だ。二塁打2本は校内ルールで校舎直撃の大飛球だった。「小園級の投手を打たないと。あれくらいの投手がセンバツで出てくる」と気合。普段は小園とバッテリーを組む。「(チェンジアップは)強打者のピンチで使える。カウント球でも決め球でも使えると思います」と評した。