第93回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)で創部100年の三島南(静岡)が、甲子園に春夏通じて初出場します。連載「三島南センバツ初出場 起こせ!!南風」で、聖地に挑む同校の全27選手を紹介していきます。

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チームを統率する伊藤侍玄(じげん)主将(2年)は現在のチームについて、「『甲子園では、こういうプレーをしよう』と明確なものが定まり、みんながまとまってきた」と手応えを口にする。チーム全体では機動力を駆使し、常に次のプレーに目を向けることを心がけているという。

センバツ初出場が決まり、各選手の意識は高まっている。だが、昨秋は違った。新体制となって間がなく「チーム内の雰囲気がふわふわしていて、言わないと動かない人が多かった」と振り返る。そのため、主将としてチームを1つにすることに集中。自分のことは後回しにした。その結果、秋季大会では打率1割5分4厘。不調に苦しんだ。

現在は一時、三塁手の練習に取り組んでいたが、再び本職の外野へ戻り、レギュラー争いに挑んでいる。その中で、自身の役割について「たとえ争いに負けても、(中堅手の前田)銀治が投げるときは外野のポジションが空く。その時にチームの穴埋め役として、柔軟に対応できるようにしておきたい」と話した。

甲子園に向け、浮かれる様子はない。「稲木監督にも言われたが、チーム打率は出場32校内で最下位に近い。低いランクにいることを自覚して、やっていきたい」。聖地で勝利をつかむため、チームの先頭を走り続ける。【河合萌彦】

◆伊藤侍玄(いとう・じげん)2003年(平15)12月6日、沼津市生まれ。静浦中(沼津)で野球を始め、三島南高では昨夏からメンバー入り。新チーム発足後に主将に就任。中学では生徒会長、高校では学級委員を務める。右投げ右打ち。169センチ、72キロ。血液型A。家族は両親と弟2人。好きな言葉は「嫌われる勇気」。