第93回選抜高校野球大会(19日開幕、甲子園)に出場する仙台育英(宮城)は、広島商と広島市内で今年初の対外試合を行った。結果は4-5。“開幕投手”を務めた最速144キロ右腕・松田隆之介(2年)が、7回8安打5失点(自責3)。手応えと課題が見つかる投球だった。

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一冬の成果を発揮した。「うりゃ!」。松田は気迫のこもった直球を何度も投げ込む。自己最速を1キロ更新する144キロをマーク。キャッチャーミットにズバッと決めた。4回は2者連続三振締め。5回は三振を奪っての3者凡退。結果は5失点(自責3)だったが、納得のいく球もあった。「真っすぐに力強さが出てきた」。今冬はウエートトレーニングに重点を置き、投手に必要な肉体を鍛え上げた。初の対外試合となったマウンドで確かな手応えを示した。

昨秋は背番号10。エース右腕・伊藤樹(2年)に次ぐ活躍を見せた。4試合に登板し1完投で4失点、防御率は1・80。東北大会を制する原動力になった。それでも、松田は満足はしておらず、さらなる進化を自らに求めた。投球動作を改造。大きく足を上げるスタイルをコンパクトに。かかとよりもつま先が先に着地するように意識付けた。「ボールに勢いが乗る。自分にはまっている」と、その効果を実感している。

課題も残った。初回の立ち上がりだ。先頭打者に甘く入った球を右前打とされ、内野ゴロの間に先取点を許した。2回も2安打で追加点を献上。「最初が良くなかった。簡単に点をやってしまった。(試合の)入りが大事だと思うので、もっと繊細にやらないといけない」と今後への反省材料にした。

チームの目標は東北勢悲願の大旗白河越え。初戦は開幕日の19日、四国王者・明徳義塾(高知)と激突する。「このままでは通用しないと思う。自分が(伊藤)樹と仙台育英の2枚看板と言われるように、やっていかないといけない」と言葉に力を込めた。ダブルエース右腕にのし上がり、日本一への一翼を担う覚悟だ。【佐藤究】

○…浅野洸司内野手(2年)が復活を印象づけた。2、3週間前に右手首を負傷し、ここまで出場を見合わせていたが「5番二塁」で先発出場。2-5の8回2死二、三塁で内角直球をジャストミート。右中間を破る2点適時三塁打を放ち、2安打2四球3打点と早くも結果を残した。「バットがしっかり振れて安心した。本番までにここからさらに仕上げていく」と気持ちを引き締めた。