専大松戸(千葉)が中京大中京(愛知)に善戦したが、最後に力尽きた。

0-0で迎えた7回裏2死二塁、好投していた先発深沢鳳介投手(3年)はインコース真っすぐを狙ったが、少し抜け、アウトコースよりの甘い球に。打球は左翼前へ低いライナーで飛んだ。

左翼を守る吉岡道泰外野手(3年)は、定位置より少し前、ラインよりに構えていた。打球が飛んだ瞬間「ワンバウンドで止めるよりも、(ダイレクトで)捕って0点で抑えてやる」とダイビング。試合開始から小雨が降り続き、芝生は水を含んでいた。「ボールがスリップするから」とグラブを下から出した。しかし、打球は想像以上に速かった。

捕球しきれず後逸。その間に、打者走者は一気に生還しランニング2ランになった。「ランナーが三塁を回った瞬間、悔しかった…」。中京大中京ベンチを、ぼうぜんと見つめた。

専大松戸は、この2点で敗れた。試合後、吉岡は責任を感じ泣き崩れた。

持丸修一監督(72)は「吉岡にしてみれば、判断ミスだと思ったんでしょう。そうじゃない。あれくらい積極的でいいんですよ。私は後悔はしていませんよ。攻めたプレーの結果。あれくらいの気持ちでやってくれてよかったと思う」。吉岡を優しく思いやった。徹底して攻めの攻撃、攻めの守備で優勝候補に真っ向勝負した。紙一重の経験は必ず夏につながるはずだ。

吉岡は「甲子園はいいところ。でも、こういう経験もできた。夏、また勝てるように。打撃も含め、総合的に上げていかないといけないと思う。でも…本当に(グラブまで)あと少しでした…」。涙で真っ赤に腫らした目で、再び悔しさが込み上げた。