<センバツ高校野球:東海大相模2-0天理>◇31日◇準決勝

相模のドクターKだ。東海大相模は、エース左腕の石田隼都投手(3年)が天理に3安打完封勝ち。14奪三振で完封した準々決勝の福岡大大濠戦を上回る15奪三振を記録した。14・9の高い奪三振率で、春は11年以来10年ぶりとなる決勝に導いた。

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三振で締めた。9回2死走者なし、石田は天理の代打長野を追い込むと、外に「自信のある球」とチェンジアップを落とし、空を切らせた。くるりと中堅方向へ半回転し、激しくガッツポーズ。「ピッチャーで一番格好いいのは三振。良かったです」と喜んだ。

無双の奪三振マシンと化した。4試合計26イニング連続無失点。重ねた三振は43。奪三振率14・9は73年江川(作新学院)の16・4に次ぐ。三振が多い理由を問われると「追い込んでから低めの変化球、外の真っすぐを投げ切れている」と冷静に答えた。オフはフォーム改善に着手。下半身を使って体重移動を意識し、秋に見られた抜け球が減った。組み立ても奏功。初回に4番瀬を内角攻めで空振り三振に仕留め「(内に)投げ切れたことで、後半勝負に影響を与えました」。6回から右打者の外へのチェンジアップを増やし、スキを見せなかった。

負けられない理由がある。前夜、急性胃腸炎で入院中の大塚瑠晏主将(3年)からグループラインに「絶対、勝て」と届いた。石田を含め、みんな「勝つぞ」と返した。29日の準々決勝後、石田は「勝つのは(大塚が)いても、いなくても変わらない」と言った。決勝進出を決め、真意を継ぎ足した。「日本一がチームの目標。勝って報告したいです」。

目標達成まで、あと1勝だ。15年夏以来の甲子園Vとなる。当時、小学生だった石田はテレビで東海大相模のユニホームに憧れた。同じ左腕の小笠原(現中日)に「攻める姿が大事」と感じた。「明日、勝つことだけ考えています」。あれから6年。自分が歓喜の真ん中に立つ。【古川真弥】

 

▽東海大相模・門馬監督(石田の先発起用に)「キャプテンの大塚がいない中、石田がマウンドにいる安心感を優先しました。試合前のシートノックで、みんなに『声を出していこう!』と石田が声を出した。技術だけじゃなく、精神的にも中心選手になってきた」

▽東海大相模・小島(石田の投球を受け)「真っすぐのキレが良くて、真っすぐの軌道から曲がる変化球があるのがいい」

▽天理・中村監督(石田に散発3安打完封負け)「先発で初回から全力でした。9回まで球速も変わらず、球のキレも変わらず、制球もほとんど乱さず、淡々と投げ込んでくる。素晴らしい投手だなとあらためて感心させられた。敵ながら」

 

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