サヨナラ勝利で県大会出場を決めた。盛岡三が昨秋の地区王者、盛岡一を4-3で撃破。同点の9回裏1死二塁から斉藤千尋外野手(3年)が、右前にはじき返して熱戦を制した。今春から打撃フォームを改造。動画で研究し、たどり着いた独自打法が殊勲打につながった。

   ◇   ◇   ◇

主役は3番斉藤千だった。3-3で迎えた9回1死二塁。「自分で決めてやると思った」。カウント0-1からの2球目。外角直球をコンパクトに振り抜き、打球は右翼手の前に落ちた。二塁走者で主将の志和孝祐内野手(3年)が、ヘッドスライディングで本塁突入。セーフを確認すると、斉藤千は笑顔で仲間のもとへと飛び込んだ。「高校初のサヨナラヒット。めちゃくちゃうれしいし、控えメンバーの思いも背負いながら打席に立った」と味方の声援を力に変えた。

昨秋は背番号13で、出場機会はなかった。今冬はグラウンドに降り積もった雪の上でも、ひたすらバットを振り込んだ。「実戦を想定した打撃をやってきた」。春先の練習試合から調子は右肩上がり。今大会から背番号9を勝ち取った。2-3の7回2死三塁の第4打席では同点適時打を放ち、公式戦初安打を記録。県大会出場を手繰り寄せた。

研究熱心な高校球児だ。今春から打撃フォームを改造。高く構えていたバットの位置を低くした。動画で自らの打撃をチェックし、チームメートからも助言をもらっては、試行錯誤を繰り返してきた。「低く構えることによって、軸足に力が入るようになった。直球、変化球でもボールを見ることができている」と独自の打法を身につけ、その手応えを実感する。

次戦は、5月2日に盛岡工と対戦する。「チーム目標は夏の甲子園出場なので、第1代表で県大会に出場する。1つでも多く勝って夏のシード権を取りたい」。バットでチームを勝利へと導き続ける。【佐藤究】