勝てば58年ぶりの関東大会出場がかかっていた水戸一は、最終回に3点を奪われる痛恨のサヨナラ負けを味わった。

先発の石井陽向投手(3年)が5、6回の2イニングで4四球を出しながらも2失点に食い止めていたが、最終回に守りのミスが連続して自滅した。

2番手桧山駿太投手(3年)は先頭打者を四球で歩かせると、続く代打伊野健吾(3年)の打球は二飛。強風で打球があおられ、二塁の中山晃靖内野手(2年)が捕球。代走の海老根大成(2年)が飛び出していたが、内野陣の連係が乱れ併殺が取れない。さらに、1死一塁から、桧山のけん制で挟殺プレーに追い込みながらも、ここでもアウトにできなかった。

その後四球、投前バントがヒット、さらに一塁の野々下光内野手(3年)のエラーで1点差とされ、なおも1死満塁。4番清水裕成捕手(3年)に中前に運ばれ、これを中堅手の栗林修敬外野手(3年)がはじき、逆転サヨナラを許した。

木村優介監督(36)は「ここまで選手はよく頑張ってきた。最後は、自分たちの甘さが出ました。ここから強くなりたい。私たちの学校からは飛田穂洲さんが出られており、飛田さんの「一球入魂」を目指してやってきました。練習や練習試合から凡事徹底を胸に、1球の重みを忘れずに励みたいです。挟殺プレーの場面では、選手にはおそらく関東大会が見えていたと思います」と言い、ハキハキした口調の中に悔しさを込めた。

最終回のミスに絡んだ二塁手の中山は、冷静な口調でそれぞれのプレーをふりかえった。「セカンドフライの後、走者が飛び出していたので一塁に投げましたが、僕の送球が走者の進路とかぶってしまい、野々下さんは捕りづらかったと思います。挟殺プレーの時は、僕がショートに任せすぎで、自分も挟殺に入ればよかったです。それが影響して野々下さんが追いタッチになってしまったと思います」。

最後の場面でセンター栗林が後逸しているが、中山は「ここのグラウンドは外野が弾むということは確認していました。それを想定して栗林さんは前に出てきたと思いますが、あまり弾まなかったのもあったと思います。あの場面は二塁走者をかえすとサヨナラだったので、センターからすれば、全力で前に出てきた中でのプレーだったと思います」と、仲間のプレーをふりかえった。

中山は「石井さんが投げている時は、どうしてもエースに頼りがちです。だから、中盤以降に僕たちが追加点を取れてない状況で石井さんがマウンドを降りると、今度は守ろうとするんですが、四球で苦しくなると守りでミス、そういう流れだったと思います。今回、関東大会がかかった試合で、苦い経験となってしまいましたが、こういう状況を味わうことができたのは、反省材料にできます。毎回やっていることですが、これから1回表からのプレーをひとつずつみんなで状況を確認しながら、反省する部分を共有していきたいです」と言った。