難敵撃破で県大会出場を決めた。秋田北鷹が能代松陽に8-4で快勝。昨秋敗れた相手に借りを返した。先発した2年生右腕、相馬大地投手が9回を4失点(自責3)の力投で“高校初完投”を飾った。今春から4番に座る千葉音陽(ねお)外野手(3年)は、4安打3打点の大暴れ。バットでチームに勝利を呼び込んだ。

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堂々のマウンド上だった。8-4の9回1死二塁。カウント1-2と追い込み5球目。最後の打者を決め球のカーブで右飛に打ち取った。154球の完投劇。グラブをたたき、ガッツポーズで満面の笑みを浮かべた。「周りが助けてくれたおかげもあって、自分の投球をすることができた」。奪った三振は4つ。味方のバックを信じながら右腕を振り続けた。

回を追うごとに持ち味を発揮した。キレのある最速120キロ直球に、最遅95キロのカーブと100キロ台のスライダーを織り交ぜた。緩急を生かした投球スタイルで、序盤に2失点も3回以降は2安打2失点(自責1)と立て直した。5点リードの7回には無死満塁のピンチを招くも、「1点はOK。気持ちを入れて投げ込んだ」。左犠飛の最少失点で踏みとどまり、この試合最大のヤマ場を冷静に乗り越えた。

何度も同じ相手に負けるわけにはいかなかった。昨秋は地区予選代表決定戦で、6-13の完敗。過去6年間、公式戦8連敗中で迎えた一戦だった。今冬は「打倒能代松陽」を掲げ、打撃練習を中心に汗を流した。木藤大嗣監督(44)は「私が監督になって練習試合も含めて(能代松陽に)初勝利。チームとしても、初めてかもしれない。選手がよく戦ってくれた」と、ナインをたたえた。

次戦は明日9日、地区王者を懸けて大館鳳鳴と対戦する。木村は「自分たちの野球をして、県大会も勝ち進んで、北鷹強いなと思わせたい」。秋田の地に「ホクヨウ旋風」を巻き起こす。【佐藤究】

○…主軸の千葉が目覚めた。3打席連続適時打を含む4安打3打点の大活躍で、チームの勝利に貢献。1点先制された直後の1回1死三塁、右前適時打でスタートすると、2回1死満塁から再び右前適時打、4回無死満塁では左前適時打と打ちまくった。7回先頭の第4打席では左中間を破る三塁打でチャンスメーク。前戦の大館桂桜戦は4タコに終わったが、修正して結果につなげた。「逆方向への意識を持って臨んだ。しっかりボールを見ることができた」と笑顔で振り返った。