室蘭地区で代表決定戦が行われ、北海道栄が苫小牧東を3-1で下し、春は5年ぶりの全道大会出場を決めた。昨秋に三塁手から転向し、今春から背番号「1」を背負う浜中拓投手(2年)が、4安打1失点の公式戦初完投で勝利に導いた。

しびれる場面でも浜中は動じなかった。北海道栄が2点リードの7回。1死から死球と連打で満塁と、この日最大のピンチを招いた。「ここで抑えなきゃ逆転されるだろうなと、自分の中で思っていた。絶対抑えてやろうと思って三振を取りにいった」。一気にギアを上げ、直球で見逃し、スライダーで空振りと、2者連続三振に仕留め、雄たけびを上げた。

「初回から全力でいきました」の言葉どおり、4回まで1人の走者も出さないパーフェクト投球。5回先頭の4番高田に1発こそ浴びたが、それ以外はゼロを並べた。9回109球4安打1失点5奪三振の熱投で公式戦初めての完投勝利。チームを5年ぶり春の全道へ導いた。

昨秋までは三塁手を務めていたが、転機があった。それまで守備のスローイングに悩みを抱え、突然思い通りの動きができなくなる症状、イップスのような状態が続いていた。「一塁に投げられなくて、その1つの改善法として、投手をやって思い切り投げたいと」。函館五稜郭中時代に投手経験があり、転向を志願。昨秋の全道出場時はベンチ外だったが、練習試合や紅白戦などで結果を残し、今春に背番号「1」をつかんだ。

函館市の親元を離れ寮生活を送っている。成長を続ける右腕の姿に、糸瀬直輝監督(45)は「自信もついたと思う」と話した。チームは準優勝した16年以来の春の全道舞台。浜中は「自分たちができることをしっかりやって、全力を尽くして1勝でも多く勝ちたい」と見据えた。【山崎純一】