掛川西(県2位)が、12年ぶり2度目の東海王者に輝いた。享栄(愛知2位)に5-1で快勝。県勢では、16年常葉学園橘(現常葉大橘)以来、5年ぶりの東海地区制覇を果たした。エース沢山優介(3年)が5回2死から登板し、4回1/3を4安打無失点の好救援。今大会を通しても、3試合計14回1/3を無失点に抑える圧巻の投球を披露した。

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12年ぶりの東海大会優勝が決まっても、掛川西・沢山に笑顔はなかった。4点リードの最終回。安打と2死球で2死満塁と、1発が出れば同点のピンチを招いた。最後の打者を右飛に打ち取り、難を逃れたが「9回は勝ち急いでしまった。ああいうところが自分の課題」と反省した。

大会1週間前、新型コロナウイルス感染拡大の影響で静岡県独自の警戒レベルが5となり、県内各校が対外試合の自粛を迫られた。そんな中での貴重な公式戦に「自分がどれだけ通用するか試したかった」と、意欲的に臨んだ。相手に警戒されながらも、強豪の三重王者や愛知王者を無失点に封じ「自信になった」と胸を張った。

打線の奮起に刺激も受けた。県大会で不調に苦しむも、今大会14打数7安打(打率5割)と活躍した1番狩俣藍生(あい)内野手(2年)を先頭に、主力打者が復調。打線が3戦とも試合前半でリードを奪う展開をつくり、投手陣を援護。沢山は「チームにとって、野手が活躍してくれたことは、とても大きい。僕らもあぐらをかいていられない」と気を引き締めた。

「ここで勝つためにやってきたのではなく、夏に勝つためにやっている」と、慢心する様子はない。大石卓哉監督(41)から「沢山の生命線は直球。もっと磨きをかけてほしい」と期待され、「来るとわかっていても打てない直球が理想。それを求めてやっていきたい」。現在の最速は144キロ。夏までの残り約2カ月でさらなるスケールアップを果たし、伝統校を1998年(平10)以来、23年ぶりの夏の甲子園に導く決意だ。【河合萌彦】

◆2009年の掛川西 浜松商を春夏通算7度の甲子園に導いた上村敏正監督が指揮。08年秋の東海大会準優勝で、春のセンバツに15年ぶり4度目の出場を果たした。1回戦で21世紀枠の利府(宮城)に4-10で敗れた。春季県大会準優勝。同東海大会では中京(岐阜)、愛工大名電(愛知)、東邦(愛知)を連破し、初優勝した。夏の県大会準々決勝で常葉学園橘に1-6で敗れ、春夏連続甲子園を逃した。