聖光学院が盤石の強さを見せつけた。福島北に7-0で7回コールド勝ち。先発の背番号10、五十嵐蓮投手(3年)が6回を3安打無四死球無失点の好投。直球を軸に、3回以外は毎回の6奪三振もマークした。打線は13安打7得点。「1番遊撃」で先発出場の皆川雅己内野手(3年)が、4打数4安打。6-0の7回には4番芳賀慎之介内野手(3年)が、公式戦初アーチとなるサヨナラ弾を決めた。

五十嵐が精密な投球でチームを準決勝に導いた。立ち上がりからテンポ良く投げ込み、得点圏に走者を置いたのは1度で三塁すら踏ませなかった。「丁寧に投げることを心がけながら、0点に抑えられたので良かった」と胸を張った。

生命線は抜群の制球力だ。3-0と不利なカウントでも、表情を変えることは一切ない。ポンポンとストライクを奪い、アウトを積み重ねた。「投手として四死球は悪だと思っている。ずるずるいってしまうし、攻撃に流れを持ってこれない」。普段からコースへの投げ分けを意識し、ピッチングの“原点”と呼ばれる制球を磨いてきた。

スタンドで見守る家族に好投で応えた。中学2年時に「聖光学院」に憧れて、故郷の神奈川から強豪の門をたたいた。両親には「甲子園に行きたい。聖光学院で野球がしたい」と伝えた。「勝負して来い」と背中を押してもらった。「応援してもらっているので、恩返ししないといけない。マウンドでは常に『やってやるぞ』の気持ちが強い」

次戦は今日14日、準決勝で福島西と対戦する。勝てば変則ダブルヘッダーで、決勝に臨む。「登板機会があれば、気合を入れて投げたい」と闘志を燃やした。夏の福島県大会前、最後の公式戦。県北地区Vで弾みをつける。【佐藤究】