第103回全国高校野球選手権(8月9日開幕、甲子園)の北北海道十勝地区、旭川地区の組み合わせが16日、決まった。十勝地区で、昨夏に独自開催された北北海道大会8強の帯広三条は、初戦の2回戦で帯広南商と対戦する。昨秋、今春と1点に泣いた経験を糧に夏の準備を整えてきた。1月の全国高校スケートで58年ぶり学校対抗優勝を果たしたスケート部からのエールも受け、20年ぶりの聖地を目指す。

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今度こそ接戦をものにして聖地を引き寄せる。帯広三条の新鞍叶翔主将(3年)は「まず先輩たちと経験した北大会8強を超えたい。地道に勝ち上がりOBの方たちに頑張っている姿を届けたい」と意気込んだ。

昨秋、今春と2季連続で1点に泣いた。昨秋は地区1回戦で不戦勝の後、2回戦で足寄に4-5。今春は初戦で足寄に雪辱も、2回戦で帯広工に延長13回タイブレークの末、1-2で敗れた。この春、全10地区唯一のタイブレーク負け。8回に自身の失策で先制点を与えてしまった太田隼輔三塁手(3年)は、汚名返上の夏へ気を引き締める。「攻守で場面を想定した練習を続けてきた成果を出したい」と強い口調で話した。

1月の全国高校スケート学校対抗で58年ぶりの日本一に輝いたスケート部に刺激を受けた。右腕エース田辺賢(3年)と、スケート部の中心選手で男子1000メートルを制した時安清貴(3年)は、帯広第八中時代、野球部のチームメートだった。田辺が三塁手で時安が中堅手。春の敗戦を動画で見た時安からは「次こそ負けるなよ」とエールを受けた。田辺は「いつも気にかけてくれている。僕らも北大会を勝ち抜き、全国で戦う姿を見せたい」と思い描いた。山本浩介監督(51)もスケート部の快挙に触れ「そういうものは不思議と連鎖する。流れに乗れたら」と話した。

創部71年、甲子園5度出場の古豪も01年を最後に聖地から遠ざかる。酒井岳二塁手(2年)は芽室中時代、01年甲子園出場時のエース、島田裕行監督(37)に指導を受けた。酒井岳は「野球から振る舞いまですべて学んだ。三条で甲子園に出て、島田先生に恩返ししたい」。1月にはOGの西條奈加さん(56)が直木賞受賞。文学、スケートと続く躍進の流れを、次は野球部20年ぶりの甲子園出場につなげる。【永野高輔】

○…富良野緑峰は、昨夏コロナ禍で満足に活動できなかったことも踏まえ、3年生部員の判断で出場辞退しており、2年ぶりの夏の出場となる。今春新人3人が加わり、正規部員7人にバドミントン部などからの助っ人4人を加えた11人で、2年ぶりの1勝を目指す。軸になるのは畠山友吾投手、高橋諒捕手の3年生バッテリー。鈴木知樹監督(39)は「2年前の夏を経験しているのは畠山と高橋だけ。チームを引っ張っていってくれたら」と期待した。

◆01年夏の帯広三条VTR 地区初戦(2回戦)は帯広大谷に12-2と大勝発進。3回戦12-2帯広農、代表決定戦8-1広尾。4年連続出場となった北大会では1回戦6-0北見北斗、準々決勝9-6帯広南商、準決勝6-1旭川龍谷。旭川実との決勝は6-6の9回裏2死満塁から、纐纈(こうけつ)の右前適時打でサヨナラ勝ち。86年以来15年ぶり5度目の甲子園出場を決めた。甲子園では初戦で玉野光南(岡山)に0-8で敗戦。

◆01年夏の甲子園出場当時の帯広三条エースで、現芽室中監督の島田氏 甲子園での記憶は、あっという間に終わってしまい、あまり残っていないんです。でも、とてもわくわくしたことは覚えている。後輩たちには、とにかく最後まで悔いのないプレーをして、甲子園を目指してほしい。