上げ潮ムードで夏本番に臨む。聖光学院が4-2で福島を撃破。夏の県大会前最後の公式戦を白星で飾り、県北王者に輝いた。先発した2年生右腕、佐山未来投手が9回6安打2失点で公式戦初完投。キレのあるスライダーを武器に、最後まで投げ切った。打っては4番芳賀慎之介内野手(3年)が、2試合連続となる本塁打を放つなど、3安打3打点の大暴れ。前人未到の15連覇に向けて、大きな弾みをつけた。

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決勝のマウンドで快投を演じた。背番号13をつけた佐山が公式戦初完投。最終回に2点差に迫られ、なおも2死一、二塁の場面。カウント1-2からの6球目。最後の打者を中飛で打ち取り、少しだけ表情を崩した。「ホッとしました。淡々と投げ続けることができた」。120球の力投。心地よさそうに汗をぬぐった。

6回まで三塁すら踏ませなかった。最速140キロ直球にキレのあるスライダーを織り交ぜた。奪った三振はわずか3。2度の併殺で打ち取るなど、テンポ良くアウトを積み重ねていった。「(スライダーの)キレには自信を持っているので、コースはあまり意識してない」ときっぱり。四死球もわずか3つ。大胆かつ丁寧な堂々の投球だった。

野球少年時代から「聖光学院」は憧れの存在だった。「小学3、4年の時に、甲子園を見てかっこいいなと思った」。夏になると、テレビにかじりついて観戦した記憶は、今でも鮮明に覚えている。中学時代は東京神宮シニアでプレー。元甲子園球児の父からは、「甲子園は見にいくところじゃなくて、自分で行くところだ」という言葉をもらった。佐山は「まだ(甲子園には)1度も行ったことがない」。同シニア時代には、チームで甲子園本大会を観戦する機会もあったが、父の教えを胸に行くことはなかった。

夏の福島県大会は7月7日に開幕する。「先輩の思いも背負い、精いっぱいやっていきたい」と言葉に力を込めた。15連覇の一翼を担い、夢の甲子園切符をつかむ。【佐藤究】