「水戸学の道」の急坂を登った石垣の上に、水戸一(茨城)はある。1878年(明11)創立。校舎は水戸城跡に建てられ、校内には遺構の薬医門が残る。県内最古の高等学校で、毎年難関国立大合格者を多数輩出。OBには「学生野球の父」飛田穂洲(とびた・すいしゅう)がいる。飛田氏の胸像に見守られながら土にまみれるナインは、春季県大会で4強入り。54年(昭29)以来の夏の聖地へ、地元の期待も背負う。

歴史があれど、練習環境は決して恵まれていない。グラウンドはハンドボール部、サッカー部、ラグビー部などと併用。ノック時は十分なスペースが取れず、外野手は右翼側に集められる。コロナの影響で練習時間も短縮を強いられた。それでも選手たちは前を向いて取り組む。堺堀史也主将(3年)は、「投手対打者、打球と野手のように本質的には個人プレーの側面が大きいのが野球」と個々のレベルアップの重要性を強調。これまで機敏性に欠けていた練習間の移動時間を徹底的に切り詰めた。

飛田氏が生んだ「一球入魂」を引き継ぐ水戸一ナイン。今日23日に組み合わせ抽選会が行われる。堺堀主将は「1球に対する集中力を上げていく」と気合を入れた。【関根直人】