第103回全国高校野球選手権(8月9日開幕、甲子園)の道内各地区予選が26日、南北海道・札幌、室蘭を皮切りに始まる。昨年のセンバツに21世紀枠で選出され、昨夏の甲子園交流試合に出場した帯広農は、聖地1勝に導いた佐伯柊主将(3年)ら4人を中心に、今度は北大会を制し“夏連続”甲子園を狙う。

今夏の道内球児で、甲子園で校歌を歌った選手が残るのは帯広農のみ。中でも主将の佐伯柊遊撃手、西川健生三塁手、谷口純也外野手、村中滉貴外野手(すべて3年)の4人は、いずれも昨夏甲子園交流試合の高崎健康福祉大高崎(群馬)戦に先発出場し、4-1の勝利に貢献した。佐伯主将は「大舞台でやってきたことを出せたのは大きな自信。今度は北北海道大会で勝って甲子園に出たい」と意気込んだ。

昨年はスピード、頭脳的などの頭文字を取った「すず野球」を掲げ、38年ぶりに出場した聖地で難敵を撃破した。さらなる躍進を期し、今年のスローガンは「再甲帯農Revolution21」。「再甲」は最高の野球で再び甲子園に出るという意味。さらにチーム内で「前の走者への打球指示」など、21個の細かい約束事を設定し、すべて徹底することで「21世紀枠」から「21年の北大会覇者」として甲子園切符をたぐり寄せるという思いがこめられた。

慢心は一切捨てる。昨年は甲子園交流試合出場も、その直前に行われた独自開催の北北海道大会、秋の全道と1回戦負けを喫した。昨夏聖地で2安打2打点の谷口は「みんなで考えた約束事を、1つ1つ徹底していくことで、もっとチーム力を磨かないと」。4人のうち唯一甲子園で無安打だった西川は「小さなほころびをなおし、もう1度、甲子園に戻りヒットを打ちたい」と意気込んだ。

5月中旬には新スローガンを記した横断幕が完成し、グラウンドに掲げられた。昨夏は捕手、今夏は中堅手として臨む村中は、今春の十勝地区代表決定戦(白樺学園戦)の9回2死二塁、1点ビハインドの状況で打席に立ち左飛に倒れた。同点のチャンスを生かせず「思い切り振れていなかった。自分の甘さが出た。初心に戻って戦いたい」。晴れ舞台から1年。聖地での歓喜も地区敗戦の悔しさも知る帯広農が、変革の夏に挑む。【永野高輔】