ぎりぎりの戦いを制し、苫小牧中央が南大会切符をつかんだ。0-0のまま延長13回タイブレークに突入。表の攻撃を無失点でしのぐと、その裏、無死満塁から3番三浦琉生(るい)二塁手(3年)が三塁強襲のサヨナラ打。夏の地区代表決定戦初のタイブレークを制し、三浦は「とにかく初球から思い切っていこうと。練習してきたことが結果につながった」と喜んだ。

開幕1週間前の練習試合で初めて、無死一、二塁から始まるタイブレークの練習を実施。満塁での守備は一、三塁に飛んだ場合は本塁、二塁、遊撃に飛んだ場合は二塁に送球しダブルプレーを狙う約束を決めていた。13回の守備で遊ゴロをさばいた前田大和(3年)に迷わず二塁送球を指示した三浦は「1点はOK。ゲッツーならラッキーという感覚だった」。冷静な判断で危機を救った背番号4は、バットでも貴重な決勝打放ち、勝利に貢献した。

昨夏の独自大会は日本ハム入りした左腕、根本悠楓(18)を擁しても南大会準々決勝で敗れた。昨秋、今春はいずれも地区敗退。絶対的エースが抜けた中、土台となる守備を磨き上げるため、フリー打撃の際にも守備を置き、まずミスを減らす試みを続けてきた。延長13回無失策に渡辺宏禎監督(52)「根負けしなかったのは収穫」と手応えを口にした。

三浦は「僕らは根本さんの背中を見て意識高く取り組むことができた。何とか甲子園出場で恩返しがしたい」。先輩の思いを継ぎ、一丸で聖地の切符をたぐり寄せる。【永野高輔】

▽苫小牧東・猪田京佑(3年)(146球完投も1失点で敗れ) 最後まであきらめないという思いで投げた。(グラウンド隣の)学校の敷地から吹奏楽部が応援してくれているのが聞こえ、力になった。