<高校野球愛知大会:刈谷10-0瑞陵>◇4日◇1回戦◇春日井市民球場

愛知大会で、プロ注目の文武両道右腕、刈谷・遠藤泰介投手(3年)が夏の初戦に臨んだ。プロ2球団のスカウトが見守る中で、瑞陵戦に先発し、4回無失点6奪三振。この日は最速147キロを計測し、許した安打はわずか1本のみ。圧巻の投球を見せつけ、チームを勝利に導いた。

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今秋ドラフト候補の最速150キロ右腕、遠藤が、前評判通りの力で夏の初戦を突破した。

連日の悪天候の影響で1回裏、刈谷の攻撃時に一時中断。グラウンド状態が悪い中でも持ち味を存分に発揮したエースは「序盤は焦らず自分の投球を意識した。中断時もストレッチなどで身体を温めながら準備していた」と振り返った。

自身の投球を冷静に分析。「今日の出来は70点くらい。直球主体で球数を抑えて投球できたのは良かった。課題は変化球の精度。次戦までに修正します」。この日の最速は147キロだったが、5月上旬の東邦(愛知)との練習試合で150キロを計測。速球で勝負できる本格派だ。

バットでも存在感を示した。初回、1点を先制し、なおも1死一、三塁で中越えの適時二塁打を放ち、自身を楽にした。まさに「二刀流」の活躍。その後も打線が奮起し、11安打10得点での5回コールドで瑞陵を退けた。

県内屈指の進学校で、学業との両立は必須だ。今も試験期間中で、前田英伸監督(60)は「試合前日も1時間勉強させてから練習を開始した。今日もすぐに帰って勉強させます」と笑う。大勝の喜びもつかの間、ナインは素早く準備し、帰りのバスに乗り込んだ。

春の全三河大会を制したように、今年の刈谷は中京大中京、愛工大名電、東邦、享栄の「私学4強」に匹敵する地力がある。絶対的エースとともに「公立の星」となれるか。進撃を目指す夏が始まった。【山崎健太】