部史に新たな1ページを刻んだ。今春の県大会8強の宮古商工が4-3、9回サヨナラで不来方を下し、初戦を突破した。2点を追う9回無死一、二塁で、荒川快主将(3年)が2点適時失策を誘う三塁内野安打で同点。無死満塁で鈴木鮎斗外野手(3年)の左犠飛で勝負を決めた。同校は20年4月に宮古商と宮古工が統合して開校。統合後初の選手権で初勝利を飾った。

最後まで諦めない。2点を追う9回に打席に入った荒川は「100%つなぐ意識を考えていたので」と三塁側にセーフティーバント。意表を突かれた三塁手の一塁への送球は大きく外れ、2人の走者が生還。さらに一気に三塁まで進塁し、サヨナラのチャンスを作った。その後、2者連続申告敬遠で満塁。鈴木は「外野まで運ぶことに一点集中した」。直球を豪快に引っ張って飛距離十分の左犠飛を放ち「必ず走者をかえして、サヨナラ勝ちを頭で考えた結果の打球だった」と振り返った。

歴史に残る1勝だ。昨年はコロナ禍で大会は中止となり、統合後初の甲子園を懸けた大会となった。校舎は商業校舎と工業校舎の2つに分かれており、菊池暁監督(42)は「両校舎に分かれ、ライブ中継で3年生が応援してくれていた。学校に勢いをつける野球部であろうと常々話をしてきたので、そういう試合を見せられた」と目を細めた。次戦は12日。まだまだ夏は終わらせない。【相沢孔志】