東京都市大付の“由伸”が2安打完封で勝利した。

エース右腕の郷原怜大投手(3年)は「練習試合の相手にも、よく『似てる』と言われます」と照れながら明かした。セットポジションから左足を中堅方向にピンと伸ばし、力みなく投げるフォームはオリックス山本由伸投手のよう。6回1死まで多摩工打線に1本も安打を許さず、中盤以降の味方打線のつながりを呼んだ。

昨秋までは、主に横から投げていた。フォーム改造のきっかけは、テレビ番組。「山本投手は肘を使わずに投げていると聞いて。僕は肘が弱いので、自分に合ってるんじゃないかと思いました」。動画を見てマネただけじゃない。やり投げや、胸郭を柔らかくするトレーニングなど、山本が取り入れているメニューを実践。「全部が参考になります」と目を輝かせた。

効果は、てきめんだった。課題だった力みが消え、最速は以前の130キロから5キロアップ。この日は、直球を軸にスライダーを織り交ぜ、テンポよく打たせて取った。山崎雄二監督(41)からは「序盤は、あと1本が出ない中、郷原がよく粘ってくれました」とたたえられた。

昨夏は、独自大会前に肋骨(ろっこつ)を疲労骨折し投げられなかった。最後の夏。チームの目標は、シード校撃破だ。「4回戦で八王子(学園八王子)に当たる。勝ちたい」と力強く話した。