<高校野球栃木大会:白鴎大足利5-0栃木商>◇15日◇2回戦◇宇都宮清原球場

栃木商の長瀬和志(3年)はエース兼4番で主将だ。頼もしさは折り紙付き。「中学校も3年間、学級委員長だったんです。生徒会長もお願いされましたが、野球に打ち込みたくて、それは断りました。高校3年間も、やっています。主将も1年の時から、やる気でいました」。思ったことは、面と向かって伝える。厳しいことも仲間のために言ってきた。「みんなで、やらなきゃダメだと思うので」と、チーム第一の日々を過ごしてきた。

この日も「4番投手」でスタメン出場したが、強豪の白鴎大足利に力及ばなかった。5回途中で降板し、その後は一塁の守備へ。「自分の代わりに途中で下がった一塁手や、2人いるマネジャーは試合に出られないですし、申し訳ないなって」。あふれ出る涙を、右袖で何度も拭った。

栃木商に進学したのは同校の先輩でもある兄の壮志(まさし)さん(22)の影響だ。「お兄ちゃんも高校は2回戦で終わっちゃった。レギュラーじゃなかったので、自分が出て活躍していいところを見せたいなと思って高校に入ったんですけど…私立を倒せなくて。お兄ちゃんに申し訳ない」。仕事で観戦できなかった兄にわびた。

人のために尽くせるエース兼4番兼主将は、大学に進学して野球を続けるつもりだ。【木下大輔】