埼玉の優勝候補で“二刀流王国”の浦和学院が、順調に4回戦進出を決めた。エンゼルス大谷をほうふつとさせる「1番投手」で公式戦初先発したのは、吉田匠吾内野手(3年)。持ち味の制球力で、直球を内外角に収めた。チェンジアップ、スライダー、カットボール、カーブと多彩な変化球も低めに決め、3回をわずか34球で被安打1の無失点。そして、4回からは本職の二塁の守備へ。「どっちがいいとか、特にありません。投げるのも、楽しいので」とサラリと言った。森士監督(57)は「落ち着いて、自分のピッチングをしてくれた」と評した。

“二刀流”が、投手陣の層の厚さにつながっている。2番手で1イニングを被安打2の1失点だった180センチ右腕、高山維月投手(2年)は、捕手との兼任。春季関東大会後に本格的に練習を始め、頭角を現した。5回に登板した三奈木亜星投手(3年)は、高い打力も持ち味で外野手のレギュラーでもある。1/3回を2四球と乱れたが、背番号1の宮城誇南(こなん)投手(2年)とともに主戦として期待される。

この日は登板しなかったが、サイド右腕の金田優太内野手(2年)も投手と遊撃手を兼ねられる。主力の5人が投手と野手を高いレベルで兼任できる今夏。森監督にも「こういうチームは今までなかった」と手応えがある。18年の100回大会以来、3年ぶりの聖地へ、総力戦で臨む。【保坂恭子】