現役東大大学院生監督の初めての夏が終わった。筑波大付・和気正純監督(23)は「点は離されましたが、普段やってきた100%を出せましたし、いつもは出ないプレーも出ました。選手たちは全力でやり切ったので良かったです」と満足そうに話した。

昨年まで東京6大学野球の東大でプレー。最後は学生コーチを務めた。4年秋のリーグ戦終了後、母校から監督のオファーを受け、昨冬から指導を始めた。現在は大学院で海洋シミュレーションの研究を行う傍ら、週4日、後輩たちの指導にあたる。「監督にも自分の意見は言ってほしい、思うことがあったら言っていいよと伝えています。納得するまで話し合います」と、年齢の近い選手たちとのコミュニケーションを重視する。

今春はブロック予選が中止されたため、この夏が公式戦初采配だった。初戦となった2回戦の荒川工戦に4-1で勝利。10年ぶりの夏2勝を狙った。初回にバッテリーエラーが重なり、いきなり4点を失ったが、1回2死から登板した近藤克哉投手(2年)が6回まで無失点と好投。直球は110キロ台だが「極端に遅くしよう」と取り組んだ70キロ台後半~80キロ台の超遅球カーブでゴロを重ねた

近藤が降板後の7回に3点を失い、6点ビハインドに。なお1死三塁で二ゴロを打たれたが、本塁への好返球で走者を憤死させ、コールド負けは免れた。敗れはしたが、粘りを発揮した戦いぶりだった。

和気監督は「社会人になるまでは」と、新チームでも指揮を執る。「もうちょっと足を使った攻撃ができれば。詰め切れていない」と攻撃力向上を誓った。大学院生監督のチャレンジは続く。