木更津総合がエース・島田舜也投手(3年)の投打にわたる活躍で、準決勝進出を決めた。

エースの完全復活だ。今大会初先発の島田は、140キロを超える力強いのびのある真っすぐに、得意の110キロ前後のカーブ、スライダーを自在に操り、打者を翻弄(ほんろう)。「今日は抜け球もあったけど、うまく修正できて、守りからリズムを作ることができました」。ストライク先行で、要所で三振を奪い、8回まで三塁を踏ませない投球で、リズムを作り完投勝利した。

自らのバットでも存在感を示した。4-0で迎えた8回表、2死一塁。島田の打席で五島卓道監督(67)が声をかけた。「バットを振らなくてもいいぞ」。ニッコリ笑って向かった打席。「初球、甘い球がきたので振り切りました」。打球はレフトポール線ギリギリに入る左越え2ラン本塁打に。島田は一塁を回ると、何度もガッツポーズを突き上げ、喜びを爆発させた。「入ると思わなかったので、ビックリしました」と、笑顔を見せた。

新チームからエース番号を背負うも、秋の大会終了後、右手の血行障がいに襲われた。冬はリハビリを続けていたが、この先のことを考え今年2月、手術に踏み切った。3月中旬からキャッチボールを始め、4月から投球練習を始めた。今春は背番号10でベンチに入ったが、まだ本調子ではなく。中継ぎで短いイニングしか投げることができず、チームは3回戦敗退。悔しい気持ちをグッと押し殺し「今は治療に専念。本番は夏だ」と自分に言い聞かせた。

ケガもプラスに変えた。リハビリ中にはフォームを1から見直し。プロ、アマ問わず、いろいろな投手の動画を見て投球術を学んだ。「今までは三振を取りたい欲が出て、力んで甘く入り打たれることがあった。でも、三振を取れなくても勝てる投手になればいいと、考え方が変わりました」。変化球をゾーンに投げ、真っすぐをコースに投げ分ける。勝てる投手に成長した。

木更津総合-習志野のカードは、19年夏、秋の準決勝の再戦。いずれも、習志野がサヨナラ勝利した。2年ぶりの夏の大会は、準々決勝で対戦。今回は木更津総合に軍配が上がった。島田は「先輩たちの悔しい思いも背負って、自分のピッチングをするという気持ちで臨んだ結果がこういう結果になって満足しています」と胸を張った。エースの復活。そして、習志野撃破。夏の木更津総合は強さを増している。