小岩の“ラッキーボーイ”が勝利をもたらした。6-6の9回1死二、三塁で、荒木直哉内野手(3年)が左飛を打ち上げた。

「三塁走者の沢口君は足が速い。浅いと思ったけど、レフトの捕球体勢がよくなかった。しっかり走ってくれました」とサヨナラ犠飛を放っても、チームメートを立てた。

出番は突然だった。2点を追う初回裏、2死走者無しから、3番関根が敵失で出塁。ところが、スイングした際、バットが膝に当たり痛めてしまった。二塁に達したところで痛みが引かずに交代。荒木が代走で呼ばれた。「突然で緊張しました。でも、やって来たことを信じて、力を出すだけだと思いました」。すると、次打者の左前打で一気に生還。反撃ののろしとなるホームを踏んだ。

ラッキーぶりは続く。同点の4回には、1死三塁から遊ゴロを打たされたが、敵失を呼び、一時勝ち越し点を生んだ。さらに、後続の攻撃で自らも生還。再び1点を追う8回には死球で出塁した。二塁に達した際、両ふくらはぎをつり、今度は自分が退場しかけたが、チームメートの治療のおかげでプレー続行。同点ホームを踏んだ。そして、9回にサヨナラ犠飛を放った。

途中出場ながら、3度も生還。二塁守備では好守も見せた。茶川剛史監督(37)は「(3番関根という)核になる選手がいきなり。想定外でしたが、代わった荒木がスーパープレーを連発してくれた。本人の努力の結果です」と目を細めた。背番号14の荒木は「1ケタの番号をつけたことはありません。1ケタを欲しかった気持ちはありましたが、番号をもらえた。チームに貢献することだけ、考えてきました」と胸を張った。控えも、レギュラーも、勝利を追い求める気持ちに差はなかった。