<高校野球兵庫大会:長田9-6甲南>◇18日◇3回戦◇明石トーカロ球場

最後まであきらめない。4点を追う8回2死。甲南の2番野田泰司朗(たいしろう)内野手(3年)が左前打で出塁。盗塁に成功すると、続く3番中村晴喜内野手(3年)の二塁打で本塁に生還した。追い上げは実らず、あと1歩で敗れたが、2安打の野田は胸を張る。「バッティングが良くなって、こうやって最後の夏でヒットが出たのは自分の成長だと思う」。

スタンドには、阪神、オリックスで活躍した父の浩司氏(53)が見守った。野球を始めた小学3年から、サポートを受けてきた。中学、高校でも打撃や守備を教えてもらった。「指導してくれたたびに自分のプレーが良くなった」。試合前には「存分に楽しんで、やれることをやってこい」と励まされた。野田はチームメートに何度も「楽しめ」と声をかけた。快音が父への恩返しとなった。

「絶対にチームを裏切らない。後輩のカバーもできる。こういう子が社会を引っ張っていってくれる人間だと思う」と岡山毅監督(41)は野田の人間性を評価する。高校野球を完全燃焼し、野田は「本当にすごいところでやっていたんだな」と父の偉大さを感じた。今後は野球をやるつもりはないというが、父と歩んだ野球人生は将来につながる。【岡崎空日南太】

◆野田浩司(のだ・こうじ)1968年(昭43)2月9日生まれ、熊本県出身。多良木から九州産交を経て87年ドラフト1位で阪神入団。90年には初の2桁勝利となる11勝。93年トレードでオリックス移籍し、17勝で最多勝。95年4月21日ロッテ戦で19奪三振の日本記録。95、96年の連覇にエース格として貢献した。00年引退。現役時代は186センチ、82キロ。右投げ右打ち。