世代最速の157キロを誇る怪物が、甲子園の舞台に初見参する。ノースアジア大明桜(秋田)が秋田南に6-0で快勝し、4年ぶり10度目の夏の甲子園出場を決めた。今秋ドラフト1位候補のエース風間球打(きゅうた)投手(3年)が、3安打8奪三振の完封劇。変化球主体の投球ながら8回を除く全イニングで150キロ台を計測し、その数は22球を数えた。10球団以上のNPBスカウトが視察に訪れる中、快投で聖地への切符を勝ち取った。

風間が両手を天に突き上げた。9回2死走者なし、カウント2-1からの4球目。最後の打者を151キロ直球で右飛に打ち取った。いつもなら勝利の瞬間、表情を変えず淡々と整列する右腕も、112球を投げ抜いて自然と感情があふれた。マウンドを中心にできた歓喜の輪で、苦楽をともにしてきたチームメートと喜びを分かち合った。

18日の準々決勝で自己最速を一気に4キロ更新する157キロを投げ、衝撃を与えた。「注目されて正直プレッシャーはあった。決勝で無失点に終われてよかった」とホッとした表情を浮かべつつ、「この試合はもう忘れて甲子園に臨みたい」と気を引き締めた。

最初で最後のピンチは2回に訪れた。単打と二塁打で無死二、三塁。「1点はOKという気持ち」と切り替えた。1死後に四球で満塁も、カウント2-2からの5球目。116キロのカーブで三ゴロ併殺に。「満塁でゲッツーに抑え、何とか無失点で流れを変えられた」。以降は6回の1安打のみ。150キロ台は22球(150キロ=7球、151キロ=7球、152キロ=4球、153キロ=4球)。準々決勝の17球から1試合の自己最多を塗り替えた。

甲子園ではドラフト上位候補に挙がる高知・森木、市和歌山・小園らとの直接対決を熱望する。「そこで勝ったら周りの目も変わる。『自分の方が上だぞ』というピッチングをしたい」と強気だ。日本一のチーム目標とともに「球速の部分で158キロを目指しているので、甲子園で出したい」という。将来は「日本を背負っていけるようなピッチャーになりたい」と夢見る17歳が、全国の野球ファンをとりこにする。【山田愛斗】