今秋ドラフト上位候補で最速152キロ右腕の市和歌山・小園健太投手(3年)は、あっけなく夏が終わってしまった。敗戦直後、目を潤ませて「甲子園に戻ると思って全員でプレーした。達成できなくて、とても悔しい」と振り返った。

智弁和歌山打線は、じわじわと重圧をかけてきた。1回から、全員がファーストストライクを振ってきた。初球は、普段よりも多彩な球種で入り、工夫した。この日は最速148キロ。丁寧に投げた。ほころびが出たのは6回だ。2死満塁。浮いたスライダーを高嶋奨哉内野手(3年)に打たれ、左前に先制打を許した。

同点直後の7回に2点を失い、8回も失点。奪三振ゼロで攻略された。「少しでも、浮いた球を逃してくれなかった。自分のやるべきことをすべてやった。ただ単に力不足」と話した。

松川虎生捕手(3年)と帽子に「ニコイチ」と書き込み、中学からコンビだ。誘われて、同校進学も決めた。「僕のわがままも受け止めてくれて、とてもいい相棒。僕のなかで一番大きな存在。最後は甲子園で終わりたかった。次のステージでは、違うチームで戦いたい」と語った。

この日もプロ球団が視察に殺到。「2年半、最高の仲間に出会えた。次のステージに向けて練習して準備したい」。午前5時台に家を出て、学校に向かう生活だった。情熱を傾けた、野球を極める道のりは終わらない。かねて熱望するプロへ。敗戦の悔しさが小園を大きくする。【酒井俊作】

▽ソフトバンク稲嶺スカウト(小園について) 丁寧に投げていた。失投が1球も許されないと感じる投球だった。初球からいろんな球種をまんべんなく投げていた。

▽巨人水野スカウト部参与(小園について) スライダーもうまく使いながら投球していた。(中盤まで)アウトにすべきところをアウトにする投球だった。