静岡高が、中止となった昨年を挟んで2大会連続26度目の夏の甲子園切符をつかんだ。エース高須大雅投手(3年)が、2安打8奪三振完封。今大会は5試合に登板して37回無失点、4完封と圧巻の投球を披露した。4番池田惟音(いおん)外野手(3年)が2ランを含む4安打を放った。

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静高が、圧倒的な強さで頂点に立った。チームの看板・高須が、17年ぶりの優勝を狙う東海大静岡翔洋を相手に6回2死まで無安打投球。「ノーヒットノーランは意識しないようにしていたが、できたらかっこいいかなとも思っていた」。初安打を許してからは「しょうがない」と切り替え、冷静に後続を断った。最終回には、この日最速の145キロを記録するなどギアを上げ、相手の上位打線を3人で締めた。

前日27日の夜は緊張のため、床に入って30分は寝付けなかったという。目を閉じている間は、決勝戦のイメージをふくらませ「最後の打者を三振にとって、みんながマウンドへ集まるところを想像していました」。実際は、最終打者を二ゴロに仕留めてのシャットアウト。「三振ではなかったですが、イメージ通りでした」と無邪気に笑った。

右腕の快投に打線も応えた。初回に先制すると、2-0の5回1死一塁で池田が、右越えのダメ押し2ラン。高校通算21号の価値ある一発に「内角の高めにきた直球にうまく反応でき、キレのあるスイングができた」と満足顔。今大会全試合で4番に座り、打率5割(22打数11安打)、7打点と存在感を発揮。この日は、サイクル安打へあと三塁打だけに迫る活躍でチームをけん引した。

今年4月に就任した静高OBの池田新之介監督(44=島田商前監督)は、「これまで重圧を押し殺していたので、ほっとしました」と安堵(あんど)の表情。「負けない野球」を志し、チーム全体の技術向上に努めてきた。その上で、走攻守すべてで積極性を求め、チームは今大会全6試合で17盗塁を記録。新指揮官の下、ナインは水を得た魚のようにグラウンド上で躍動した。栗林俊輔前監督(現県教委)が鍛え上げた堅守も健在。大会を通して無失策と、相手に付け入る隙を与えなかった。

春夏計7回の甲子園出場に導いた前指揮官が築いた堅実さに、池田監督のスタイルを取り入れた“ハイブリッド型野球”で夏を制した。2大会連続で挑む夢舞台では、前回出場した2019年に果たせなかった大正、昭和、平成、令和の4元号勝利を目指す。【河合萌彦】