昨日の敵は今日の友-。第103回全国高校野球選手権(8月9日開幕、甲子園)の南北海道大会で優勝した北海が28日、春夏連続の甲子園出場に向け練習を再開した。プロ注目の150キロ左腕、木村大成(3年)は前日27日の決勝戦後、相手の札幌日大エース前川佳央(3年)からLINE(ライン)を通じ、自身とは異なるスライダーの投げ方を指南された。激闘をかわしたライバルの教えも素直に吸収し、センバツで逃した聖地1勝につなげる。

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北海・木村が早くも甲子園で勝つための準備にとりかかった。優勝から一夜明けたこの日、主力メンバーはランニングと筋力トレーニングなど約1時間のメニューを終え、その後は自主練習。木村は「体全体が張っていて、とても疲れていたんだと感じた。関西は、もっと暑い。しっかり準備をして、自分が投げてチームを勝たせられるようにしたい」と気を引き締めた。

前日の決勝戦は7回から吉野龍生(3年)の救援を受け、自身は優勝の瞬間を右翼で迎えた。朝、新聞を広げると、いつもいるはずのマウンドに自分がいなかった。「うれしさの中に悔しさがあった。みんなが抑えてくれてうれしいが、エースとして最後まで投げたいという気持ちは変わらない」と強い口調で話した。

もっと強くなるため、謙虚に学ぶ姿勢を貫いていく。決勝戦後、札幌日大・前川佳と中学時代チームメートだった工藤泰己(3年)に頼んでLINEをつなぎ、スライダーの握りを教えてもらった。「安定してストライクが取れて自分よりすごい。自分のはひねる感じだが前川君のは真っすぐの握りを傾ける感じ。やってみようと思った」。変化に波があった自身の武器に前川イズムも取り入れ、安定感を上げる。

走者に出た後の投球で足がつったことも課題の1つ。準決勝で対戦した北海道栄エース小沼快登(3年)がランニング後に投球練習を繰り返していた話を聞き、「やってみよう」と即決。全力でぶつかってきた相手エースの教えを貪欲に取り込み、聖地で勝って恩返しする。【永野高輔】