<高校野球愛知大会:愛工大名電3-1中京大中京>◇29日◇準決勝◇岡崎市民球場

プロ注目の最速152キロ右腕、中京大中京の畔柳亨丞(くろやなぎ・きょうすけ)投手(3年)は愛知県大会準決勝で姿を消した。

「情けないです」。世代屈指の右腕は敗戦後、表情を崩さず淡々と答えた。今大会初先発となったこの日は本調子とはほど遠く、苦しい投球が続いた。「夏独特の重圧に押されてしまった」。最速148キロをマークするなど、走者を出しながらも要所を締めていたが、8回に勝ち越しを許した。「自分が折れたらチームは負ける」。強い気持ちで腕を振ったが最後に力尽きた。

今春のセンバツでは2試合で完封するなどチームの4強進出の原動力となった。しかしその代償は大きく、右肘の故障に悩まされた。約40日間のノースロー調整を経て戦列に復帰したのは5月中旬。「焦りはあったがプラスに捉えていた」。その言葉通り、復帰後6月の東海大相模(神奈川)との招待試合で自己最速を1キロ更新する152キロをマークするなど、成長した姿を見せた。

「プロでやり返す」。試合後、プロ志望を明言。この日もプロ9球団18人のスカウトが視察に訪れた。

栄光も挫折も味わった高校野球。名門の重圧を背負ったエースは、この敗戦を糧に、再び輝くはずだ。【山崎健太】