興国が、19年夏の甲子園の覇者である履正社を破り、大阪大会を制した75年以来46年ぶりに決勝進出を果たした。タイブレーク2イニング目の延長14回、劇的なサヨナラ勝利を飾った。

9回を終えて3-3で延長戦に突入。タイブレーク(無死一、二塁から攻撃)となった延長13回は、ともに1点ずつ奪って譲らず。タイブレーク2イニング目の14回に勝敗が決した。

興国は1回1死一、三塁の好機で4番の池上巧馬外野手(2年)。左打席からきっちりと中犠飛を放ち、打者4人、わずか5球で先制に成功した。5回には2死一、三塁から再び池上。右前適時打を放ち2点目を挙げた。さらにこの回、押し出し死球で1点を追加し5回を追え3-0と優位で折り返した。

先発左腕の田坂祐士投手(3年)は6回まで1安打無失点と好投したが、7回につかまった。無死から2本の二塁打で1点を失い、次打者に四球を出したところで降板。代わった山本珠璃投手(3年)が無死満塁のピンチを招き、大江遼也投手(3年)とスイッチ。2死までこぎつけたが、履正社の4番・松林克真内野手(3年)に左前適時打を浴び同点とされていた。

無死一、二塁から攻撃のタイブレーク2イニング目の延長14回は犠打と申告敬遠で1死満塁に。中村莞爾内野手(2年)がカウント2-1から右越えのサヨナラ打を放った。

○…興国が甲子園出場を決めれば、胸アツな対決が実現するかもしれない。興国の喜多監督は、智弁和歌山3年の97年夏に全国制覇を成し遂げたメンバーの1人。同監督は「3番中堅」で5試合に先発。この大会で同校の「5番捕手」で扇の要だったのが、今年の甲子園に4大会連続出場を決めている智弁和歌山の中谷仁監督(42)だった。2人は96年春、夏も出場。中谷監督は97年ドラフト1位で阪神に、喜多監督は慶大を経て01年ドラフト1巡目でロッテに入団した。現在は高校野球の指導者として活躍する2人。全国制覇した同じ高校の選手が、時を経て監督として対戦することになれば大きな話題となりそうだ。