全国高校野球選手権の県代表・日本文理(2大会連続11度目出場)は大会6日目(18日予定)の初戦(2回戦)で敦賀気比(福井)と対戦する。17年夏まで同校監督を31年間務め、春5度、夏9度甲子園に導いた大井道夫総監督(79)が今年のチームを分析。初戦を突破した17年以来の勝利を期待した。

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雨天順延が続く中、初戦を待つ日本文理ナイン。大井総監督は選手のコンディションを気遣いながら、自校で居残りの1、2年生の指導などをして新潟から甲子園を見守る。チームの成長を認め、自身が勇退した17年以来の甲子園勝利に期待をかけた。

-チームの評価は

大井 県大会では1試合ごとに成長しました。特に打撃が良くなった。大会前に選手に言ったんです。「自分の好きなバッティングをしたいのか、それとも甲子園に行く打撃をするのか」と。それまでは遠くに飛ばす打撃ばかりだったので、バットを短く持って逆方向を意識させた。長打のある3番の田中(晴也=2年、投手)、4番の渡辺(暁仁=3年、主将)以外は短く持つようになりました。

-ほかに打撃向上のために行ったことは

大井 打撃練習では4、5メートル前から投げさせました。140キロを打つ練習をしても甲子園では勝てない。145キロを打てるようにしないと。県大会は140キロ台の球を投げる投手ばかりと対戦したけど、選手は比較的思い通りに打てたと思います。

-初戦の相手、敦賀気比は昨秋から北信越で負けていない

大井 勝てる要素はある。もちろん相手もそう思っているでしょうけど(笑い)。試合の流れが五分で行けばチャンスはある。

-田中投手へのアドバイスは

大井 速さで抑えようとしてはだめ。(捕手の)竹野(聖智、2年)のリードが良くなったので、うまく左右に散らすことが大切。そして、高めに浮いた変化球を投げないこと。

-どんな試合を期待

大井 甲子園が決まってから「楽しんでやってこい」とだけ言いました。春季県大会から2カ月、選手の意識は『絶対に甲子園に行く』という強いものに変わりました。春先の練習試合で負けたチームに夏の県大会では勝ったり。ノーシードから頑張って勝ち上がったのですから、あとは甲子園に出て良かった、と思える試合をしてもらいたいです。まあ、なんとか1つ勝たせたいけどね(笑い)。【聞き手・斎藤慎一郎】

◆大井道夫(おおい・みちお)1941年(昭16)9月30日生まれ、栃木県出身。宇都宮工(栃木)では投手で59年夏の甲子園で準優勝。早大に進学し、外野手に転向。社会人野球、宇都宮工のコーチを経て、86年に日本文理の監督に就任。06年春に甲子園ベスト8、09年夏は同準優勝、14年夏は同ベスト4。17年夏の甲子園を最後に勇退。同9月に総監督就任。教え子には吉田篤史(元阪神)本間忠(元ヤクルト)飯塚悟史(DeNA)鈴木裕太(ヤクルト)らがいる。