今春センバツ準優勝の明豊が、初戦で姿を消した。専大松戸の深沢に6安打無得点に抑え込まれ、登板した全4投手が失点と、投打で流れをつかめなかった。

幸修也主将が率いる3年生は川崎絢平監督(39)から「史上最弱世代」と呼ばれたが、鍛錬を積みセンバツ決勝まで勝ち上がった。ただ日本一には届かず、エース京本真投手(3年)は幸とともに「こんな練習で日本一を取れるのか?」とナインに説いてきた。幸がセンバツ優勝に沸く東海大相模の写真をスマホの待ち受け画面にしていることは後輩たちも知っている。指揮官は「力のない学年でも伸びることを証明してくれた。明豊の伝統の1つとして転機になるチーム。くすぶっている後輩にも、すごく勇気を与える存在が多数いた」と認めた。「最弱」は、今後の手本となる世代へ成長した。

8回に4番手でマウンドに上がった1年生の森山塁投手に、幸は「こういう機会に思い切って楽しんで投げろ」と背中を押した。雪辱はできなかった。しかし、戻ってきた聖地で強くなるための財産を次代へつないだ。【只松憲】